【山本文緒】「絶対泣かない」名言・感想

小説

好きなことを仕事にしたい。したくない。
正社員になりたい。非正規雇用が心地よい。・・・

世の中には様々な仕事との接し方がある。

仕事との関係を疑問に感じた時、自分の欲しいモノがかわからなくなった時
「絶対泣かない」と現状に意固地になっている時に読み返したい。

それぞれの職業で奮闘する15人の女性の物語からヒントが得られるかも。

ばむ
ばむ

ネタバレがあるかもしれません。

ネタバレを気にしない方のみこのままお読みください。

名言

「あんたは失敗して、みっともない姿を人前に晒すのが嫌なんだよ。」

いいか。あんたはね、すごく見栄っぱりなんだよ。ものすごくプライドが高いんだ。
何でも人から褒められなきゃ気が済まないんだ。
だから、苦手なもんをそうやって避けて通って知らん顔してんだよ。

絶対泣かない,p.22

教師が生徒に放ったこちらの言葉。
恋愛に奥手だが結婚願望はある教師自身に特大ブーメラン。

苦手なことを避けるのも手。しかし、欲しいモノのためなら話は別。

「失敗してみっともない姿をさらけ出すのが恐かったのは私だ」
と、生徒という下の立場の存在からでもハッとできる感性を大切にしたい。

「私、あなたがうらやましかったの」

いつでもみんなの中心にいて、何でも言いたいことを言って、自信に溢れてた。
私もあなたみたいになりたいって、子供の頃ずっと思ってたのよ

絶対泣かない,p.169

いじめられていた相手を秘書として雇う社長と社会に揉まれやつれた元いじめっ子の物語。

過去にうらやんだコンプレックスを感じる相手を身近に置く社長
コンプレックスを刺激してくる相手を支えていくと決心する元いじめっ子

欲しかったけれど手に入らなかったものを真っすぐに認めるのは本当に難しい。
「うらやましい」ことを素直に認め、その存在を近くに置ける強い心を見習いたい。

「いったい何の価値があるっていうの。私だってエステにいくらつぎ込んだかわからないわ」

馬鹿馬鹿しいわよ、やめちゃいなさいよ、その分貯金したほうがよっぽどいいわよーっ!

絶対泣かない,p.193

脱毛サロンにて、「きれいな人に私の気持ちはわからない!」
とブチギレたお客様にエステティシャンが放ったセリフ。

脱毛に大金叩いて痛い思いをしていても、本当にきれいになりたい人は幸せそうだ。
脱毛で虚しい思いをするのは、きれいになることで何かを手に入れようとしている人なのだ。
手段と目的をはき違えている。

本当の目的は何なのか、本当の目的を達成するために必要な手段は何なのか。
目的を達成しても虚しい時、自分を見つめ直す冷静さを失わずにいたい。

「どんなつまらない仕事でも、それをつまらないと思っているのはあなた自身です。」

ーーでもそのつまらない仕事でお給料をもらって自分を食べさせているのなら、
一見華やかそうでも、誰かから扶養されている人よりは何倍も自由であることを、
時々は思い出してください。

絶対泣かない,p.200

仕事に楽しさを求める人は、楽しくなるように頑張ればいい
頑張ってもどうしようもないなら転職するか、楽しさを求めなければいい。

仕事が目的なのか、それとも手段なのか。わからずに振り回される人生なんてそれこそつまらない。
仕事がつまらなかったら、自分がつまらなくなっていないか見つめ直そうと思う。

ばむ
ばむ

平成10年が初版ということもあり、女性の幸せに関する価値観が古い部分もある。

しかし、そこも含めて様々な人の環境・価値観に触れられる良書!

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